2006年08月11日更新
技術書やマニュアルなどIT関連の英文を読んでいて、「文章のおおよその意味は分かっているはずなのに、書かれている通りに実践してもなぜか上手くいかない」と悩んだ経験はないだろうか。
たとえばこんな一文。あるUNIX系OSのマニュアルにあった、アプリケーションをインストールするための解説のくだりである。
To install it, login as root, and issue the following commands from the console:
;cd /some_dir
;install xxxapplication
訳)インストールするためには、ルートでログインし、コンソールから下記のコマンド(cd /some_dir と install xxxapplication)を実行します。
ところが、この解説どおりに作業してもインストールは実行できなかった。なぜなのか。
実は、IT関連の英文では、文脈中に「前提」や「条件」を設定し、それを土台にして議論や解説を進めることがよくある。したがって、そうした前提や条件を認識しておかないと、文章の論点や議論の適用範囲を見誤ってしまう可能性があるのだ。先のマニュアルにあった一文も、そうした前提を要する文章ではないだろうか。そこで再読すると、この文章の少し前にこう書かれていた。
We will assume you've placed xxxapplication in /some_dir.
(xxxアプリケーションが、あるディレクトリに置かれていることを前提とします)
やはり、そうだった。前提となる「placed xxxapplication in /some_dir」を満たしていない限り、ルートでログインしようが、コンソールからコマンドを実行しようが、インストールはできなかったのだ。なお、ここに書かれている「assume(仮定する)」は、IT関連の英文に頻出するので素通りしがちだが、この単語を見たら「前提や条件となるものの説明なのだな」と理解するクセをつけておくといい。
また、このassumeと似た用法で使われる英熟語「From now on, ~(ここからは~)」も、覚えておくことをおすすめする。
The first thing to do is to press your Return or Enter key. From now on, we'll call it Retern.
(最初にすることは「リターン」もしくは「エンター」キーを押すことです。これからは、それをリターンと呼ぶことにします)
つまり、From now on, ~ が含まれている文章で述べていることが、その後の文脈の「前提」として使われるのだ。
そのほか、Preface(序章)の小見出しなどで書かれている「Prerequisites(前もって必要な、必要条件、不可欠な)」も要注意。このPrerequisites以下の文章に、本文を正確に理解する上で不可欠な「前提」や「必要条件」が記載されているからだ。
技術書やマニュアルは急を要する状況下で読むことが多いので、序章やポイントとなるセンテンス以外は、読み飛ばしてしまいがちだ。しかし、ITに限らず技術系の英文では、前提や条件を土台にし、その上にブロックを積んでいくように議論を展開するものが多い。だから、前提や条件を踏まえないまま本文を読んで、書いてあることを試しても、上手くいかずに時間ばかりが経過してしまう。結局は「急がば回れ」なのである。
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Illustration:Aiko Yamamoto