今年初頭から自作パーツ市場を熱くさせていたCPUのアップグレードラッシュはここに来てようやく一段落した感がある。インテルはようやく45nm版Core 2 Duoの供給が安定し、AMDは「B3ステップ」の「Phenom X4 9000」シリーズを提供し始めた。このB3ステップのPhenom X4とは、前回の「Phenom X4 9850 BlackEdition」でも紹介した通り、初代Phenomの“弁慶の泣き所”ともいえるTLBエラッタをハードウェアレベルで解決したもの。チップセットも従来までのAMD 7シリーズに加え、NVIDIAによる「nForce 780a SLI」といったパフォーマンスユーザー向けのチップセットもリリースされ、AMD製CPUを使った自作はさらに面白くなってきた感がある。
![]() | AMDのトリプルコアCPU「Phenom X3」シリーズの最上位モデル「Phenom X3 8750」(2.4GHz) |
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だがAMDは先月、Phenomファミリーをローエンド方向に広げた「Phenom X3 8000」シリーズをリリースしたことで、AMD製CPUを使った自作PCにまた新たな風が吹き込まれた。製品名に「X3」が入っていることからもわかる通り、このシリーズは自作PC用CPUとしては初めての“トリプルコアCPU”なのだ。
これまではデュアルコアCPUの性能に不満が出たら、一気にクアッドコアCPUまでグレードを上げる必要があったが、Phenom X3 8000シリーズの登場によって“ちょっと性能が欲しいからコア1つ増やす”という選択肢が生まれたことになる。果たしてコア3つという選択肢は自作PCとしてはアリなのだろうか? そこで今回は最上位にあたる「Phenom X3 8750」をしばらく使い倒す機会に恵まれた。ベンチを交えたレビューをお届けしたい。
コアが少ない分だけお手軽
今回AMDがリリースしたPhenom X3 8000シリーズは、X4 9000シリーズからコアを1つ分減らしたもの。ラインナップは下の表の通りだが、以下のような特徴をそなえている点に注目したい。
・65nmプロセスのB3ステッピング
・2次キャッシュはコア単位で512KB
・3次キャッシュは共通で2MB
・TDPは95W
| Phenom X3 | Phenom X4 | Phenom | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| モデルナンバー | 8750 | 8650 | 8450 | 9850 Black Edition |
9750 | 9650 | 9500 |
| コア数 | 3 | → | → | 4 | → | → | → |
| 動作クロック | 2.4GHz | 2.3GHz | 2.1GHz | 2.5GHz | 2.4GHz | 2.3GHz | 2.2GHz |
| 2次キャッシュ | 512KB×3 | → | → | 512KB×4 | → | → | → |
| 3次キャッシュ | 2MB(共有) | → | → | → | → | → | → |
| HyperTransport | 1.8GHz | → | → | 2GHz | 1.8GHz | → | → |
| TDP | 95W | 95W | 95W | 125W | 125W | 95W | 95W |
| ステッピング | B3 | → | → | → | → | → | B2 |
CPUの基本設計が全く同じであるため1コア分少ない以外は新鮮味はやや薄いが、各コアで共有する3次キャッシュが3コアで2MBと“減らされていない”点には注目しておきたい。この点からX4 9000シリーズの製造時に1コア分だけテストに通らなかった製品をX3 8000シリーズとして出荷している、という推測ができる(もっとも、コア数が1つ減ったからその分キャッシュも減らします、と簡単にいかないだけなのかもしれないが……)。
また、コアが1つ少なくなったことで、TDPは125Wから95Wへ減少している(2.4GHz動作のX4 9750とX3 8750での比較)。つまりコア1個と2次キャッシュで30W減。これが最終的に消費電力と発熱にどう影響するかも興味がわくところだ。
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| 「CPU-Z」によるCPU情報 |
ベンチ環境は?
それではさっそくベンチマークを通してPhenom X3 8750のパフォーマンスをチェックしてみよう。テスト環境は以下の通りである。前回の「Phenom X4 9850 Black Edition」を評価した時とマシン構成はほぼ同じだが、メモリーだけ異なることに注意されたい。
| テスト環境 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Phenom X3 8750」(2.4GHz) |
| マザーボード | GIGABYTE「GA-MA790FX-DS5」(AMD 790FX) |
| メモリー | Transcend「TX1066QLJ-2GK」(DDR2 1066 1GBx2) |
| ビデオカード | GeForce 8800GTX |
| HDD | Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA) |
| OS | Windows Vista Ultimate SP1 |
| グラフィックドライバ | ForceWare 169.25 |
比較対象として、「Phenom 9500」および同じB3ステップの「Phenom X4 9850 Black Edition」を用意、さらにX4 9850BEの倍率を下げ、Windows側の起動オプションで3コアだけを認識させた「疑似X3 8750」も加えてみた。単純にコア1つ分少ないだけなら、疑似X3 8750と本物のX3 8750のパフォーマンスは同じになるはずである。
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| 今回テストしたマザーでは利用するコア数をBIOSで指定することはできないため、「msconfig」を利用し、認識させるコア数を強制的に3に減らした |
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| 「AMD Overdrive」によるX3 8750の情報。コア数が3つであること以外は、キャッシュの搭載量や対応する拡張命令などは「Phenom X4 9750」などに準ずる |
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| 今回テストしたX3 8750はBlack Editionではない普通のもの。ゆえにAMD Overdriveでも倍率のツマミが最初から右端に配置されており、定格倍率以上には上がらないようになっている |
では次ページから、気になるベンチの結果を見ていこう。
(次ページへ続く)



















