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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 ― 第55回

「じぶん銀行」で考える“手のひら”バンキング

2009年01月10日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

海外から注目される、日本のモバイルファイナンス

 日本では都市部を皮切りに、フェリカ搭載カードやおサイフケータイが当たり前になってきた。交通機関やコンビニ、家電量販店などで利用できるようになっている。少額決済やポイントサービスを中心に展開しており、SuicaやPASMOではクレジットカードと組み合わせてオートチャージに対応すると、いよいよ現金に少しも触らずに1日が過ごせるようになってきた。

貯金計画を立てて設定することができる残高の推移もグラフで確認すれば貯金にやる気が出てくるのでは!?

 この様子に注目しているのが、海外のケータイメーカーやキャリアなどだ。おサイフケータイが実用的になってきた2004年ごろに、一度海外のメーカーからインタビューされたことがあった。そして、同じ会社が再び2008年後半に日本にやってきて、同様のインタビューをされた。

 お財布の中にある現金やクレジットカード、キャッシュカード、スタンプやポイントカードなどを全部出して1枚ずつ説明し、またケータイに入っている電子マネーやポイントカードも見せる。そして1日の典型的な生活を紹介しながら、どこでどのカードを、なぜ使うのか、という話をしていく。以前インタビューを行ったノキアのヤン・チップチェイス氏が注目しているのも、おサイフケータイだとしている(関連記事)。

 今までのおサイフケータイは、サイフの中にリアルに入っているモノをケータイのフェリカチップに収納していくのが基本的な流儀だった。そのため、お金はEdyやnanacoなどの電子マネーになり、定期券やバスカードはSuicaやPASMOになった。また、家電量販店のポイントカードやマイレージカードなどもケータイの中へ入ってきた。他にも、マクドナルドのクーポンなども当たり前のようにケータイで使われている。

 そして、じぶん銀行によって銀行口座のサービスがケータイにふさわしいサービスとして、完全に入ってきた。このことは新たな局面と言えるのではないだろうか。じぶん銀行はこれまでのように通帳を銀行に持っていく必要がない。ATMで入出金するときには銀行のプラスティックカードが必要だが、それ以外の作業ではあまり登場することもない。おまけにケータイのEdyにじぶん銀行の口座からチャージすることができるようになったので、ケータイ上で電子マネーとのクロスオーバーも進み始めた。

 「プリペイド型の電子マネーの利用シーンが広がると、随時チャージが必要になるが、現金でチャージをするのは時代遅れではないか。ケータイで使う電子マネーなら、ケータイバンキングからチャージできるのが自然な姿です。もちろんそれはじぶん通帳(アプリ)に記録されます。現金に触れないで済む生活が拡大すれば、モバイルバンキングは必要不可欠なサービスになると考えています」(勝木氏)

 アプリや電話番号を絡めたフルサービスを受けることができるじぶん銀行。ヤン・チップチェイス氏は、モバイルファイナンスについて、先進国以外の金融インフラになる可能性を指摘していた。ケータイキャリアが銀行と協業してモバイルバンクサービスを提供するじぶん銀行のモデルは、先進国・途上国いずれにとっても、とても有望だと感じている。

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