マルチタッチ+富士通オリジナルソフトは魅力的
![]() | ボディーは変わってもタッチパネル装備は変わらぬLOOX Uの特徴。スタイラスは内蔵可能なペンタイプから、ストラップにつながった羽状のスティックに |
|---|
伝統の「タッチパネル」は、より操作性の高いものに変わっている。これまではシングルタッチだったが、新製品からマルチタッチ対応になっており、Windows 7のタッチ系機能はすべて利用できる。Windows 7におけるタッチと言うと、大画面一体型パソコンでの利用例が目立つが、この種のノートとの相性も良好だ。
特に筆者が気に入ったのは、ウェブ表示時などのスクロールを、指で行なえるという点だ。また、読みにくいところがあった場合にも、指を広げて拡大し、読みやすくできる。タッチペンの利用が前提だった前モデルに比べると、ずいぶんと使いやすくなった印象を受ける。率直に言って、画面右にあるタッチセンサーボタンを使うより、マルチタッチの方が楽だと感じたくらいだ。
ただし、本機ではCPU性能の不足からか、Internet Explorer 8でのウェブブラウズでは、少々動作が重い印象を受けた。快適さにこだわるなら、Google ChromeやFirefox、Operaなどを活用した方がいいかも知れない。
マルチタッチ以上にプラスなのは、富士通が用意したオリジナル・ユーティリティが使えることだろう。特に「タッチ文字入力」は優秀だ。文字変換効率よりも、「どこに文字が入力されているのか」「どこを押すと選択されるか」といった、ユーザーインタフェース面での工夫が光る。
![]() | 文字入力用オリジナルユーティリティ「タッチ文字入力」。同社のほかのタッチ対応パソコンにも組み込まれているものだが、操作性アップに一役買っている |
|---|
なお、スタイラスは今回より内蔵式でなく、ストラップにつける「外付け」に変更になった。同社が一時携帯電話で利用していたのと同じデザインのものであるようだ。「内蔵でないと不便では……」と思ったのだが、これが意外と使いやすい。タップそのものよりも、タッチ文字入力と合わせてちょっと文字を書く、というニーズにあっていそう、という印象を受けた。
ただし皮肉なのは、これらの工夫によって、せっかく「液晶だけで使う」形が便利になったのに、今回のモデルではディスプレーの回転機構がなくなってしまった、ということだ。クラムシェル型ではディスプレーにタッチするまでに、キーボードを乗り越えて指を伸ばす必要がある。ほんの数cmなのだが、これがどうも不快に感じる。「両手で握って、ポインター+キーボードを中心に使う」ならば、今回のデザインの方が使いやすい。だが、タッチ重視なら逆である。
「もしデザインコンセプトを従来の方向性で作っていたら、もっと快適になったのでは」と夢想したくもなってくる。
キーのタッチ感はあがったが
デザインや機能への「思い切り」が足りない
![]() | LOOX Uのキーボード全景。横幅がやや広がり、打鍵感もよくなるなど改善は進んだ |
|---|
今回、大きく改善されたのがキーボードだ。旧LOOX Uのキーボードは、サイズが小さい上にクニャクニャしたタイプ感で、お世辞にも文字入力がしやすいものではなかった。新LOOX Uでは、従来14.8ミリであったキーピッチを16ミリに拡大。打鍵感も底のたわみがなくなり、相当にしっかりしたものへと変化している。タイプ感で評価するならば、十分に「良好」といっていい。
ただし、快適にタイプできるかといえば、やはり「No」と言わざるをえない。まず第一に配列だ。LOOX Uは伝統的に、ファンクションキーまで入れた「6列」キーボードを採用しており、今回もそれは同じだ。だが、6列であることは本当に必須なのだろうか?
今回のキーボードでもタイプにしくいと感じるのは、キーの縦方向の短さにある。この際ほかのキーと併用になっても、一部キーの入力が難しくなっても、利用率の低いファンクションキーなどをカットし、5列にしてしまってもよかったのではないだろうか。そうすれば、縦の小ささによるミスタイプの多さはカバーできる。LOOX UではFnキーの併用による変則的なキーレイアウトが多用されており、5列化でそれが加速することを嫌ったのだろう、と推察できる。だがここまで来たのなら、もっと突き抜けてしまってもよかった気がする。
しっかり放熱してくれていること、キーの剛性が高いこと、なによりこの軽さでまとめたことなど、富士通の技術力を思わせる美点も多い。だが、旧LOOX Uに比べて「普通」になった分だけ、失ったものも少なくないと思うのだ。
- オススメする人
- ・軽く、持ち運びに躊躇しないノートパソコンを探している人
- ・実用的なタッチ付き小型ノートが欲しい人
| FMV-BIBLO LOOX U/G90N の主な仕様 | |
|---|---|
| CPU | Atom Z520(1.33GHz) |
| メモリー | 2GB |
| グラフィックス | Intel US15Wチップセット内蔵 |
| ディスプレー | 5.6型ワイド 1280×800ドット |
| ストレージ | SSD 30GB |
| 無線通信機能 | WiMAX、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1 |
| サイズ | 幅204×奥行き106.5×高さ23.8mm |
| 質量 | 約495g |
| バッテリー駆動時間 | 約2.4時間 |
| OS | Windows 7 Home Premium 32bit版 |
| 価格 | オープンプライス(直販価格は8万9800円から) |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」「クラウド・コンピューティング仕事術」(朝日新聞出版)。
この連載の記事
- 第69回 ようやく発売されたiPad 2は「iPadの完成形」か?
- 第68回 Sandy Brigde世代の「X」 ThinkPad X220の価値は?
- 第67回 節電対策のオフピーク機能も備える dynabook R731
- 第66回 Honeycombタブレットの実力は? auのXOOMをチェック
- 第65回 地味な優等生が華麗に変身? 新VAIO S開発者に聞く
- 第64回 デザインも性能もグッドで低価格 Vostro V130を試す
- 第63回 開発者に聞く LifeTouchはモバイルギアの夢を見るか?
- 第62回 Fusion APUで生まれ変わったVAIO Yの実力をチェック
- 第61回 CESで担当者を直撃取材 2011年のレノボはどうなる?
- 第60回 iPadに始まりMacBookに終わる? 2010年のモバイルPC
- この連載の一覧へ


















