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創業100年を超える「ホテル龍名館東京」を運営する龍名館では、2009年のビル建て直しにあわせ、Google Appsを全館で導入。少人数の現場スタッフによる効率的なバックオフィス業務の運営を実現した。
ホテル業界はそもそもIT化が必要なかった?
ホテル龍名館東京は東京駅から徒歩3分という絶好なロケーションを誇る全135部屋のシティホテル。2009年のビル建て直しを経て、客室は4室をのぞく131室を洋室にリニューアル。洗練されたデザインと居心地の良さを両立させた。宿泊部 マネージャーの濱田裕章氏は「東京駅の近くなので、やはりビジネスの方は多いですし、海外の方には観光でも、ビジネスでも使っていただいております。土日にはディズニーランド観光でお泊まりになる方もいらっしゃります」と説明する。
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| ホテル龍名館 東京 宿泊部 マネージャーの濱田裕章氏 |
このホテル龍名館東京と本店となる旅館を運営する龍名館がGoogle Appsを導入した背景には、スタッフごとにメールアドレスを持たせ、シフト勤務における情報共有のギャップを解消したいというニーズがあった。龍名館も含め、ホテルや旅館という業種はIT化自体が他に比べて遅れているように感じるという。一般企業であればメールの利用は一般的だが、もとよりホテルや旅館のような業種では、IT化されているのがバックオフィスでの会計・経理システムくらい。「フロントオフィスにおいても、お客様のチェックイン・チェックアウトを管理するくらいですし、旅行予約も以前は主要大手代理店さんしかなかったので販路も少なく、FAXが届けば問題ありませんでした。リテラシが欠けているというのもあったのですが、一部の大規模施設をのぞけば、IT化を促進することが、必ずしもホテル・旅館運営に必要なことではなかったのかもしれません」(濱田氏)という状況だった。
しかし、ビルの立て替えやホームページのリニューアルなどを経て、まず外部からのメールで問い合わせられることが増えてきたという。業界全体で見ても、楽天やヤフーなどが旅行予約システムを導入するようになり、顧客もWebでのプロモーションや口コミを重視するようになった。また、従来電話やFAXがメインだった取引業者とのやりとりもメールが使われるようになったという。ホテル業界にもIT化・インターネット化の波が確実に訪れてきたのだ。
とはいえ、従業員のほとんどは現場に出ており、バックヤードに設置されたPCを逐一チェックしにいくわけにはいかない。メールアカウントを取得したものの、共用PCで従業員が逐一チェックするという運用には限界があった。結果的に、「お恥ずかしい話なのですが、問い合わせたのに返事が全然戻ってこないというお客様や取引先の声があり、これをスピーディに解決する必要がありました」(濱田氏)という課題が浮き上がった。一方で、IT化の進んだ生命会社での就業経験のある濱田氏やホテル龍名館東京の若いスタッフも、紙ではなく、スマートフォンを使った情報共有の必要性を感じていたこともあり、適切なツールを探していたという。
この検討の過程で、IBMの「Lotus Notes」やネオジャパンの「desknet's」などいくつかのグループウェアが候補に挙がった。しかし、サーバー自体を所有する必要があることや、価格的に見合わないこと、あるいはモバイル環境での利用に課題があったことから、導入を断念したという。半ばあきらめたときに目に付いたのが、「iPhoneとツイッターで会社は儲かる」(山本 敏行著)という本。この本ではGoogle Appsの活用に触れる部分があり、濱田氏も感銘を受けたという。「もともと個人でGmailを使っていましたし、Google Appsの他のアプリケーションや取り組み自体も好きでした」とのことで、Google Apps販売代理店のサテライトオフィスにGoogle Apps導入を依頼し、2週間程度試用。2010年8月に導入を決定した。
草の根的に活用が拡がっていく
導入はスムースだった。「ホテル龍名館東京は若いスタッフが多いので、説明すら要りませんでした。年配の方の多いお茶の水の旅館や本部は最初大変でしたが、慣れてもらいました」(濱田氏)とのこと。結果として、Gmailを用いることで、スマートフォンや自宅でもメールがチェックできるので、問い合わせの漏らしも一切なくなった。スタッフも従業員同士の情報共有や問い合わせ対応、外部業者との連絡などに積極的にGmailを活用している状況だ。
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| ホテル龍名館東京では現場のスタッフがGoogle Appsを活用し、バックオフィス事務も兼任している |
もともとGmail目当てで導入したGoogle Appsだったが、現在では他のアプリケーションもさまざまな業務で利用されている。たとえば、Googleカレンダーはシフト勤務でのコミュニケーションギャップを埋めるために活用されており、申し送りやスタッフ間の打ち合わせ調整で使っている。また、Googleドキュメントは社外の業者と打ち合わせの議事録のやりとり、個人ごとにWebページを持てるサイトはスタッフの業務メモなどで活用されているという。「最近いいなと思ったのが、取引先とのタスク共有をスプレッドシートで管理するという使い方。使い方に制限を設けてないので、スタッフがそれぞれ工夫してくれています」(濱田氏)とのことで、使えば使うほど草の根的に活用が拡がっているのが特徴だ。
濱田氏は、「もはやITと離れて仕事するのは無理という状況になっています。こういうITを素人でも簡単に使えるようにしたのが、Google Appsだと思います。自社で情報システム部を持たない会社にお勧めしたいですね」とGoogle Appsを高く評価している。そして、今回のGoogle Appsの導入は人件費を削減できたという成功体験と位置づけている。濱田氏は、「私たちのようなリテラシの低い会社でも、ITを受け入れられる土壌みたいなものができました。今後はWebやスマートフォン活用、客室のメンテナンス状況のチェックなども進めていきたいです」と、今後の計画についてこう説明した。
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